会派行政調査(11月5日~11月7日)

11月5日~7日にかけて会派「立憲・市民ネット」で行政調査に
行ってきました。

 

改選後の会派では、はじめての行政調査です。

 

2019年11月5日 広島県呉市
 ・おいしい減塩食で健康生活推進事業について
 ・医療費適正化の取組について
2019年11月6日 兵庫県神戸市
 ・認知症対策について
2019年11月7日 京都府京都市
 ・空き家対策について

 

それぞれについて書いていきます。

 

 

広島県呉市
1.おいしい減塩食で健康生活推進事業について

(行政調査の様子①)

(行政調査の資料①)

(行政調査の様子②)

 

●事業背景

呉市では、がん・心疾患・脳血管疾患などの
生活習慣病による死亡率が、県平均や全国平均を上回っていた。
それを受け健康増進計画で生活習慣病予防の推進を強化を決定。
日本高血圧学会による「減塩サミット in 呉 2012」が
呉市で開催され(平成24年度)、減塩に関する公開講座や
料理教室が行われたり、屋台で減塩料理が提供されるなど、
市民向けのイベントが数多く用意され、
市民の減塩への関心を高める良い機会となる。
特に高血圧などの原因となる塩分の過剰摂取に着目した
「減塩の推進」が、課内でも重要課題として認められ
平成25年度からの健康増進計画の重点事業の1つとして、
「はじめよう!減塩生活」をキャッチフレーズに
「おいしい減塩食で健康生活推進事業」を開始。

 

●事業の概要

<おいしい減塩食で健康生活推進事業>
下記①~③の3つの柱で設定

①減塩いいね!キャンペーン
 講演会や広報活動などを通じて塩分を控えた
 食生活の重要性と呉市が減塩事業に取り組んでいく
 ことを、市民一人ひとりに周知する。

 ・チラシの作成
 ・ポスターの作成
 ・ポロシャツの作成
 ・レシピ集の作成

②カラダよろこぶ!減塩プログラム
 高血圧ハイリスク者などに対して食生活の改善を促す
 活動。減塩を心がけるには、自分がどれくらいの塩分を
 摂取しているか把握することがポイントになる。

 ・市の特定健診に随時尿から1日の食塩摂取量を
  推定できる検査を市独自に追加し、摂取量を
  「見える化」。

 ・全4回のカリキュラムで支援する「塩減(ヘ)ルス教室」の開催。
  1日の推定食塩摂取量が8g以上、血圧が140/90mmHg以上、
  75歳未満という基準を設け、特定健診でこの3つが当てはまった
  市民には教室についての案内を送り、参加を募る。

 ・子育て世代にも、市が開催している離乳食教室のなかで
  減塩の効果や離乳食に適した塩分量について伝える。

 ・市内の高校生や大学生を対象とした減塩教室の実施。
  ⇒高校では、減塩教室の一環として味覚体験を盛り込み、
   即席カップめんと同じ濃度の塩水を作り、生徒に試飲してもらい、
   インスタント食品がいかに多くの塩分を含むか舌で味わってもらう。

 

③減塩でおいしい!食育
 ・児童への減塩に関する食育を行うことで「子どもから保護者へ」
  のルートで保護者にも情報が伝わることを期待し、
  中学生以下の子どもに対するアプローチを開始。

 ・幼稚園や保育所を担当する子育て施設課、
  小中学校を担当する学校施設課、学校教育課、学校安全課に
  健康増進課が加わった5つの課で「減塩連絡会」を実施し、
  幼稚園と保育所の年中児と年長児、生活習慣病について
  授業で学ぶ小学6年生と中学2年生向けにリーフレットを作成。

 ・民間企業との連携
 

●成果目標の設定と結果

 本事業で目指す具体的な食塩摂取量は、
 当時から日本高血圧学会が推奨している1日の
 食塩摂取量6g未満を参考にしましたが、
 平成22年国民健康・栄養調査では広島県民(20歳以上)の
 1日の平均食塩摂取量が男性11.8g、女性9.7gであったため、
 まずは現実的な目標量として1日の塩分摂取量を
 8g未満に設定し事業を進めた。

 年間連続で特定健診を受けた人全体の食塩摂取量の平均値は
 平成25年度の8.37gから平成28年度は8.14gに下がるがH29年度は
 上昇。今後の数値削減を目指す。

2.医療費適正化の取組について

 

(行政調査の様子③)

 

●レセプトデータ化の医療分析について

呉市における医療費適正化に向けての取組み
短期で効果のある施策
1.医療費の伸びが大きく,医療費が高額な疾病への対策
2.重複・頻回受診者,生活習慣病放置者等への適正受診に向けた訪問指導
3.特定健診データとレセプト情報との参照による受診勧奨
4.併用禁忌・回避医薬品処方情報の提供
※レセプト分析により各事業のPDCAサイクル(計画・行動・評価・改善)が可能

【期待される効果】
①保健事業の実施の財源確保
②医療費の適正化
⇒ 保険料率の引き上げの抑制

中長期で適正化を図る施策
1 レセプト点検の充実・効率化
2 レセプト情報の活用による医療費等の分析

3 ジェネリック医薬品の使用促進通知導入の契機
4 重症化予防など各種保健事業
・生活習慣病等で長期にわたって服用し続けなければならない医薬品等について

 切り替え可能なジェネリック医薬品の情報を被保険者に提供

●保健事業等による医療費適正化効果

 

 特に越谷市では
 ○ CKD重症化予防事業
 ○ 脳卒中再発予防事業
 ○ 心筋梗塞発症・再発予防事業
 などは実施しておらず先進的な取り組みとなっている。

 その他にも

 〇骨粗しょう症受診勧奨
 骨粗しょう症治療を中断している者に対し受診再開支援を実施している

<地域総合チーム医療>
〇糖尿病性腎症等重症化予防事業
 糖尿病性腎症の重症化(透析等)予防や早期介入により対象者の発症
 予防やQOLを維持及び医療費の高額化を防ぐ。また,歯科医師・薬剤師
 とも連携し,総合的に指導を行う。

 ①糖尿病性腎症等重症化予防
 ②糖尿病重症化予防
 ③糖尿病早期予防

 

<地域総合チーム医療>
 〇CKD重症化予防事業
 〇脳卒中再発予防事業
 〇心筋梗塞発症・再発予防事業
 食事や運動等の保健指導により,CKD重症化による人工透析への移行,
 脳卒中や心筋梗塞の発症・再発予防を行い,QOLの維持及び医療費の
 高額化を防ぐ。また,歯科医師・薬剤師とも連携し,総合的に指導を行う。

 

予防事業
 〇後発医薬品の使用促進通知 後発医薬品の使用促進を通知することで

  医療費の適正化を図る 
 〇併用禁忌・回避医薬品情報提供 併用すると問題がある医薬品処方を抽出し

  医療機関へ情報提供する 
 〇重複受診者訪問指導 同一疾患で3以上の医療機関にかかっている対象者に

  訪問指導を行う
 〇頻回受診者訪問指導 同一医療機関に月15日以上の受診者に訪問指導を行う
 〇重複服薬訪問指導 同じ薬の処方が同一月に複数ある対象者に服薬の訪問指導を行う
 〇生活習慣病放置者フォロー事業 生活習慣病の治療を放置している人に対して

  受診勧奨を行う 

 

 

兵庫県神戸市 認知症対策について

 認知症の「神戸モデル」を調査する。

(行政調査の様子④)

(行政調査の資料②)

(神戸市役所からの景色)

 

●認知症の人にやさしいまちづくり条例
<条例制定の趣旨>
 高齢化が急速に進む中、今後一層の認知症高齢者の増加が見込まれ

 誰もが認知症になりえる認識を持つことが求められる。
 平成28年9月神戸市で開催されたG7保健大臣会合の「神戸宣言」を踏まえ
 市独自の認知症対策の新たな試み(認知症の人の起こした事故に関する救済制度)や
 医療産業都市の推進との連携などによって、認知症になっても住み慣れた地域で

 安心して過ごすことができる「認知症の人にやさしいまちづくり」を

 推進していくため条例を制定

 

<条例のポイント>
 ①予防及び早期介入
 ⇒WHO、神戸医療産業都市、大学、研究機関等との連携による取り組み
 ②事故の救済及び予防
 ⇒認知症と診断された人による事故に関する救済制度の創設
 ⇒認知症の疑いのある人の運転免許自主返納推進
  ※今現在の返納に対する特典はなし
 ⇒移動手段の確保等、地域での生活支援
 ③治療及び介護の提供
 ⇒早期診断体制の確立
 ⇒認知症初期集中支援チームの全区実施
 ⇒認知症疾患医療センターの拡充
 ④地域の力を豊かにしていくこと
 ⇒交流できる環境や社会参加の場の整理
  (認知症サポーター、オレンジカフェ)
 ⇒中学校区単位での認知症高齢者等への声かけ訓練の実施
 ⇒行方不明者高齢者早期発見事業の実施
  (かけつけサービス)
 ⇒市民への啓発、児童、生徒への教育の推進

●神戸モデル
 認知症の人やそのご家族が、安全、安心に暮らし続けていくことができるよう
 全国に先駆けた神戸発の新たな取り組み
 ①新たな診断助成制度
 ⇒早期診断を支援する
 ②新たな事故救済制度
 ⇒認知症の方が事故にあわれた場合に救済する

◆認知症診断助成制度
 <対象者> 受診する年度内に65歳以上になる市民
 <検診の内容> 認知症の疑いの有無を診る

 ①受診券の申し込み(受診券は自宅に郵送)
  ・受診券を持参して無料診断
  ・医療機関に電話等で予約
 ②認知症検診(第1段階)の受診(問診) 医療機関で実施
  ・認知症の疑いありの方に第2段階の受診を勧奨(招待状を交付)
 ③認知機能精密検査(第2段階)の受診 専門医療機関で実施
  ・医療機関で診断後の手続き(事故救済制度等)を案内
  ※自己負担だが、助成金で全額返済される
 ④助成金(第2段階)の申請
  事故救済再度の申し込み

 

◆事故救済モデル
 <対象者> 認知症と診断された方
 ①賠償責任保険に市が加入
  ⇒認知症の方が責任を負う場合、最高2億円支給(事故に対して人・物とも)
 ②事故があれば24時間365日相談
  ⇒コールセンターで相談対応
 ③所在が分からなくなった際のかけつけサービス
  ⇒GPSを利用した位置情報検索・非常時かけつけサービスを提供
 <対象者④以降>全神戸市民
 ④事故にあわれた市民に見舞金を支給
  ⇒認知症の方による火災や傷害などの事故に対応

 

◆賠償責任保険と見舞金

 「見舞金(給付金)制度」(事前登録不要。賠償責任の有無に関わらず支給)
 「賠償責任保険制度」(事前登録必要)
 の2階建て方式。

 ※事故発生後、見舞金を先行して支給、その後に、賠償責任が認められれば

 保険金を支給する(その際には、先行して支給した見舞金分は控除)。

 ⇒ 賠償責任の有無にかかわらず広く救済することが可能【見舞金制度】
 ⇒ 事前登録の必要なく救済することが可能【見舞金制度】
 ⇒ 賠償責任保険を事前登録(認知症と診断された人が対象)とし、
  認知症の早期受診を促進【賠償責任保険制度】

 

◆神戸モデルの費用と財源

 神戸市民の皆様に負担していただくモデル
 令和元年~令和3年度の年平均の金額
 ・費用⇒約3億円
  診断助成制度
  事故救済制度

 ・神戸モデルの実現に必要な費用として ⇒約 3 億円
  市民の皆さんに市民税均等割(現行 3,500 円)に
  1人あたり年間 400 円(月当たり約 34 円)を上乗せする

 

京都府京都市
 ・空き家対策について

(行政調査の様子⑤)

(行政調査の資料③)

(空き家の活用①)

(空き家の活用②)

(空き家の活用③)

 

京都市の空き家率(全住宅戸数に占める空き家の割合)は14.1%であり,
全国の平均値(13.1%)を上回る。京都市の人口は,平成17年以降
緩やかな減少過程に入っており,今後とも,人口増が見込みがたい中
空き家は増加するものと考えられたことから行政が動き始める

 

◆条例制定に関して

●経緯
・空き家が適正に管理されないまま放置されると,防災,防犯,衛生等,
 多岐に渡る問題が発生。また空き家の増加は、まちの活力の低下につながり
 まちづくりを進めるうえで大きな課題

・今後も空き家の増加することが予想される中、より一層の対策の推進が必要
・そのため、適正管理だけでなく「空き家の発生の予防」「空き家の活用」
 「跡地の活用」を総合的に推進する「京都市空き家の活用、適正管理等に関する条例」を
 国よりも早く平成25年に制定し、平成26年4月に施行

 

●基本理念
 ① 建築物は,京都のまちを構成する重要な要素として安心安全な生活環境や

  良好な景観等の公共的な価値を実現するという役割を担うことに鑑み
  建築物の利用や管理が図られること
 ② 空き家は地域コミュニティの有効な資源として,積極的な活用が図られること。
 ③ 空き家の活用等は既存建築物の保全,活用,流通を促進するという観点から推進する。
 ④ 空き家の発生の予防、活用等は地域コミュニティの活性化を図るという観点から取り組む

●京都市空き家等対策計画の概要
 1 空き家の発生の予防
  自らの住まい・建物について,居住中・使用中から維持管理をしっかりとする,
  現状に合わせて登記を変更する,引き継ぎ方をあらかじめ決めておくなど,
  空き家としない,また,長期にわたり空き家のまま放置しないための予防の取組を進める

 2 活用・流通の促進
  地域に空き家が増えると,地域コミュニティの活力の低下につながるため
  空き家を,住まいはもとより,地域住民の交流スペースや芸術家の制作・発表の場
  宿泊施設など,様々な形で活用できるまちづくりの資源として捉え,
  空き家所有者,地域,事業者・専門家,本市の連携の下,活用・流通を更に促進する。

 3 適正な管理
  本市空き家条例の施行後,多くの管理不全空き家の通報が本市に寄せられる中
  国における空家特措法の制定や,固定資産税等の住宅用地特例の取扱いの見直しも踏まえ
  空き家の所有者に適正な管理の責務を改めて認識していただくとともに
  法・条例に基づく指導等により迅速な解決を目指す。

 4 跡地の活用
  管理不全状態の空き家の除却を進めるだけでなく
  跡地が管理されないまま放置されないよう跡地の活用も促進する。

 

●京都市の取り組み(総合的な空き家対策)
 ①意識啓発、空き家化の予防
  ・様々な媒体を通じた意識啓発
  ・司法書士と連携しに「空き家化の予防」をテーマとした説明会(おしかけ講座)の開催

 ②活用・流通の促進 
  ・総合的なコンサルティング体制の整備
   ⇒「地域の空き家相談員」の設置、活用方法等のアドバイスを行う専門家の派遣
  ・活用・流通に向けた所有者への働き掛け
   ⇒地域主体の空き家対策を支援する「地域連携型空き家流通促進事業」
   ⇒重点取組地区における空き家所有者への空き家活用の働きかけ
  ・空き家活用促進制度の創設
   ⇒改修助成制度、京町屋まちづくりクラウドファンディング
 ③管理不全空き家対策
  ・空き家対策に総合的に取り組む体制の整備
   ⇒「まち再生・創造推進室」の創設、通報窓口を各区役所・支所に設置
  ・条例に基づく指導等の適正管理対策の実施
   ⇒現地調査(建築士団体と連携)→所有者調査→助言・指導→勧告→命令→行政代執行
 ④密集市街地・細街路対策との連携(跡地の活用等)
   ⇒密集市街地において、跡地を地域の防災性向上に役立てる場合の支援制度の創設
   ⇒細街路での建替えを可能とする新たな道路指定制度の活用

 

 

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